命の危機と右目の視力喪失を覚悟した壮絶な体験

2025年5月初旬、我が家の黒柴「にゃーす」がマムシに噛まれました。
牙はまぶたを貫通して眼球に達し、命の危機と右目の視力喪失を覚悟した壮絶な体験です。

1週間の入院と1ヶ月の通院を経て、にゃーすは信じられないほど元気に回復してくれました。
この記事では、症状・治療経過・費用・緊急対処法、そして今のにゃーすの状態まで、全部正直にお伝えします。同じ思いをする飼い主さんが一人でも減れば、と思って書きました。

事件発生:牙はまぶたを貫通し、眼球へ

5月初旬の散歩中、いつものようににゃーすがカエルを追いかけて草むらに顔を突っ込んで戻ってくると、右目をしきりに手でカイカイし始めました。
見てみると瞼を閉じた状態で、なんだか血のようなものが滲んできているように見えます。

私は草木の枝先が目に刺さってしまったのかもしれない!と思い、急いで病院へ。

病院へ向かう間も目が痛いようで、触ろうとすると嫌がり、私に抱かれながらぐったり…

かかりつけ医のもとに着き、診察の結果、
全く予想もしていなかった獣医師の診断は、今思い出しても背筋が凍ります。

「マムシにやられたんだね。牙はまぶたを貫通し、眼球にまで達しています。
 眼球に穴が開いており、腫れが引き次第、緊急で手術が必要です。」

マムシの毒(出血毒・溶血毒)による組織破壊と物理的な外傷により、視力はおろか眼球の温存すら危うい、絶望的な状況でした。

奇跡の防御:腫れが命綱になった

手術を覚悟した私たちの前で、にゃーすの体が驚くべき防御反応を見せました。

マムシの毒で顔全体が尋常でないほど腫れ上がった結果、その腫れの圧力によって眼球に開いた穴がピタリと塞がったのです。
この「閉塞効果」により、本来ならば眼球の穴は自己治癒しないので、コンタクトレンズのような保護シートで穴をふさぐ手術が必要だったところを、回避することができました。

毒が皮膚を伸ばして腫れ上がらせるという症状が、皮肉にも目を守る「蓋」の役割を果たしてくれました。獣医師も「珍しいケースです」と言っていました。

【閲覧注意】マムシに噛まれた直後の写真を表示する(クリックで開きます)
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1週間の入院:治療内容と気持ち

入院中の主な治療内容は以下の通りです。

  • 点滴による解毒・輸液治療
  • 抗生剤・ステロイドの投与(感染防止・炎症抑制)
  • 毎日の血液検査による肝臓数値のモニタリング

入院中は毎日面会へ。
食欲もなく、「病院で一番人気のウェットフードも食べないから、飼い主さん少しでもいいから食べさせて」と言われ、私の手のひらにフードを載せて「ほら、食べてごらん」と口元へ持っていったら、素直にパクリと食べてくれたんです。
もう、半泣きで給餌しました。毎日通うのも苦ではなかったです。

7日後、「退院できます」という電話を受けたときの安堵感は、今でも忘れられません。

入院中のにゃーすです。だんだんと腫れは引いていますが目は開きません(クリックで開きます)
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治療費の現実:トータル22万円

本来犬のマムシ咬傷は重篤化することは稀なようですが、今回は噛まれた場所が悪かったこととマムシ毒への耐性が低かったことが重篤化した要因だそうです。
そうなると治療費も覚悟が必要です。我が家の場合の実費をお伝えします。

項目費用の目安
入院1日あたり1万円弱
入院7日間のトータル約13万円
通院1回あたり9,000〜13,000円
(血液検査のある日は1万円超え)戦々恐々でした…
完治までのトータル約22万円

実は我が家、ペット保険に入っていません。にゃーすは6年間ほぼ病気知らずだったので「まあいいか」と無保険でした。

結果的に6年間の保険料と今回の治療費を計算すると、ほぼ相殺になる金額でした。「保険に入っていても入っていなくても同じだった」となると、複雑な気持ちはあります。

ただしこれは結果論。
我が家の場合は柴犬とビーグルという比較的病気の少ない犬種だったこと、そして6年間運よく大きな病気やケガがなかったことが前提です。チワワやトイ・プードルのように病気になりやすい犬種の場合は、保険に入っておく方が安心だと思います。

我が家はこれからも「保険の代わりに貯金しておく」スタイルを続けるつもりですが、犬種・生活環境・家計状況によって正解は違います。「いざというとき22万円をすぐ出せるか」を一度考えてみるのが、保険を選ぶかどうかの判断基準になるかもしれません。

傷が治っても続く「毒」との戦い

外見の腫れが引いた後も、体内では毒との戦いが続いていました。血液検査では解毒・代謝を担う肝臓の数値が異常値を示しており、中毒性肝炎の治療を1ヶ月間継続しました。
人間もそうですけど、血液検査が高いんですよ…

通院から約1ヶ月後、血液検査で肝臓の数値が完全に正常値に戻り、獣医師から「完治」の言葉をもらいました。
そのときは元医院長まで出てきてくれて、おめでとうよかったねと言っていただきました。

乗り越えた証:たるみと、視力と

「たるみ」という勲章

腫れが引いた後、頬から顎の下にかけて、伸びきった皮膚が「たるみ」として残りました。
以前の顔立ちを知っている者としては胸が痛みますが、私たちはこのたるみを「勲章」だと思っています。この皮膚が限界まで伸びてくれたからこそ、眼球の穴を塞ぎ、にゃーすの命と目を守ってくれたのです。

今のにゃーすの状態

右目は瞳の色が変わり、視力は確実に落ちています。
ただ、手をかざすとまばたきで反応する様子が見られ、完全に失われたわけではありません。日常生活では段差や障害物に多少慎重になった様子はありますが、走り回ることも、かまちょ発動でたいむにウザがらみすることも、以前と変わりません(笑)。

そして食欲は事件前より旺盛になり、体重は300gのリバウンドを達成。にゃーすらしさは何も変わっていません。

飼い主さんへ:緊急対処法と再発防止策

もし噛まれたら(緊急対処法)

  • 絶対に安静に:犬を興奮させず、心拍数を上げないよう抱っこやカートで運ぶ。歩かせると毒の回りが速くなります。
  • 毒を吸い出さない:飼い主が中毒を起こす危険があります。絶対にやめてください。水で洗い流すのは効果的だそうです。でも犬が嫌がったら無理にしないで。
  • 一刻も早く病院へ:自己判断で何もしないことが最善。時間との勝負です。

再発防止のために実践していること

  • 草むらダイビング禁止:顔やマズルを草むらに突っ込ませないよう、伸びるリードは封印。リードの持ち方を徹底しています。
  • 熊鈴を装着:音でマムシに犬の存在を知らせて、先に逃げてもらう作戦です(効果のほどは不明)。
  • 内臓のケアまで続ける:傷が治っても、肝臓の数値が正常に戻るまで投薬と検査を続けることが大切です。

最後に

にゃーすは今日も元気です。
たるんだ顎も、少し剥げた瞼も、少し色の変わった右目も、全部含めて大好きなにゃーすです。

マムシ咬傷は他人事ではありません。特に草むらが多い季節(4〜10月)は要注意です。
このにゃーすの闘病記が、皆さんの大切な愛犬を守るための一助になれば、これほど嬉しいことはありません。

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